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中勇酒造

樺勇酒造店

日本酒の中で、吟醸酒や純米酒など(特定名称酒)の生産比率が54%(昨年実績)と全国平均の25.5%の2倍以上の特定名称酒生産比率を誇る宮城県の中でも夢幻蔵元は70%を誇る銘醸蔵です。昔から米どころ、酒どころとして全国的に有名な中新田町は、人口1万5千人余りの小さな町ながら全国的に有名な酒蔵が3蔵あり、特記すべきは、町内で飲まれている酒のほぼ100%を3つの蔵元の酒が占めていることです。今回は、3つの蔵元それぞれが個性を輝かせ、切磋琢磨し、経営努力して実現した町内シェア100%の秘密に迫ります。中新田シリーズ第2弾、ご存じ夢幻蔵元の樺勇酒造店です。

蔵推奨銘柄

 


樺勇酒造店の沿革

 明治39年、23代目当主中嶋文治氏により創業。
そもそも中新田の中嶋家は町内有数の旧家で、初祖は藤原鎌足の子孫と伝えられています。
奥州探題で知られる「大崎氏」の家臣として代々武士として仕え、時代の変遷と共に帰農しながら「大肝入」として地域に貢献しました。蔵元初代文治氏は20代に呉服商を興し、その後酒造業を創業しました。その後、2代目である勇治氏は42歳で急逝し、時代は第2次世界大戦に突入し、酒造りは中断を余儀なくされました。終戦を経て平和の時を迎えましたが、3代目信一郎氏はまだ幼少のため、当主不在の当蔵は、企業整備の嵐に巻き込まれついに解体しました。その苦境の中で中嶋家の家督信一郎氏は、一家の家計を支えるため進学を断念し、4人の弟を育てるため菓子職人となり生計を立てましたが、心の中では酒蔵復活の夢を捨てきれず苦悩の毎日でした。
昭和32年ついに酒蔵復活のチャンスを迎え、取り壊された酒蔵の建設に着手しました。蔵人や資金の手配など、苦労の甲斐あって仮製造免許を取得することが出来、本格的な再建が始まりました。しかしながら10年以上のブランクによるダメージは予想以上に大きく、得意先の酒販店では、店頭は他社銘柄で占められ、なかなか取り扱ってはもらえず苦悩の毎日でした。その窮地の中で当社を支えてくれたのは、まぎれもなく地域の皆様で、「おらが町の酒」として町民の方々に支持され助けられました。戦前は「桐正宗」、「秋の世」、「笑顔」、「鳴瀬川」の銘柄を販売、復活後は「鳴瀬川」ブランドに統一し、酒質は敢えて世の中の流行にながされず、独自の酒質を守り、あくまでも品質で勝負する経営方針を貫き通しました。昭和50年代、まだ吟醸ブームが訪れる前の日本酒離れがささやかれた洋酒全盛時代に、これからの日本酒のあるべき姿として模索した結果、水割りにしても、冷やしても美味しい酒の開発を目指しました。大変な努力の甲斐あって、ベストセラー夢幻の原型である鳴瀬川の吟醸原酒がついに誕生しました。その後画家であり登山家である岡部一彦先生が当地を訪れた際、鳴瀬川のお酒と巡り会い、再び夢のような酒に逢えますようにとの願いから「夢幻」と命名していただきました。銘柄「夢幻」は吟醸、純米酒以上の高級酒のみに使用し、25年の歳月を経て愛飲家の皆様に絶大な人気を得るまでになりました。

東北清酒鑑評会10年連続受賞。
南部杜氏自醸酒鑑評会連続受賞。
当蔵は、鑑評会用のためだけの仕込み酒ではありません。
鑑評会には、全量市販酒目的で造った酒から選び出品しています。

南部杜氏鑑評会35回連続優等賞

中島社長の主張する酒造りのとは?!

中島社長

中島社長に取材して開口一番「豊かな大自然の恵みと伝統の技・・・・・・・・・奥羽山系の伏流水を使い・・・・・・・このパターンをあえてウチは省略してください!飲み手の皆様へお伝えしたいことは山ほどありますが 私は口下手なので誤解されてしまうことが多いんです。本来造り手が飲み手に伝える手段は、言葉や文章ではなく、酒そのものしかないと思っています。特にネットに関しても、売れれば何でもよいと云うことではなく、私の蔵の酒造りを知っていただけるキッカケとして捉えています。情報公開の時代を迎え、酒蔵の真の情報を正確に全国の消費者に伝えてもらえるチャンスを生かしたいと思っています。」と云う社長は、”宮城の酒蔵を全国に紹介する”との会の趣旨に賛同していただき、当サイトの立ち上げにも協力していただきました。先代の社長にも大変お世話になり、今から10年以上前、冬の仕込み時期に先代の社長とお会いした際 ”10人の飲み手の中で5人の方々に、ただ美味しいと云われるのではなく、これでなければいけないよと云わせる”酒造りをしなければいけないとの言葉が印象的でした。
本題の大きな疑問、なぜ小さな県北の町中新田には、3つも蔵元があるのですか?との問いに
「地元の人々は、地酒を知っています。他町の酒も飲んで比べています。そして酒を飲む機会も多く毎日の晩酌や、お祭りや町の寄り合いなど飲み会も多く、少しでも品質が落ちると町の噂になり、取り残される誠に厳しい地域です。当然品質競争が激しく、その結果としてタイプの違う個性豊かな3つの蔵元が存続し、町内シェア100%が実現されているのです。」
中島社長は70歳で急逝した父の遺志を受け継ぎ、40歳で事業を継承して5年が過ぎました。温和な人柄で目立たないタイプですが、考え方は斬新で先取の気質にあふれ、県内でも期待されている逸材です。平成9年には、念願の全国組織「天上夢幻会」を立ち上げ、現在事務局長を務めています。
通産省後援の地酒の新たな物流のビジネスモデルを考えるRC研究会にも、宮城の蔵元代表の1人として積極的に参加され活躍しています。

夢幻蔵元の特長


特定名称酒比率70%、生産石数約500石、
普通酒、純米酒に「鳴瀬川」
本醸造酒に「火伏せの虎舞」 「あゆの里」
吟醸、純米酒に「天上夢幻」の商標を保有しています。


 当蔵の生での出荷は
1月中旬〜 本醸造しぼりたて生原酒  
2月1日 新製品「千年大崎」純米酒
3月下旬 夢幻原酒「生」  

 

内部の仕込みタンク


▲麹部屋の内部

大型冷蔵庫の内部