地酒を親しむ会宮城 > 寒梅酒造

寒梅酒造


国道347号線から見える工場の外観。

全国的に有名な宮城米「ササニシキ」「ひとめぼれ」「ささろまん」の誕生の地古川は、仙台から車で北へ約1時間、県北の中心にあり、緑豊かな田園都市です。秋の収穫期を前に、稲穂がたわわに実っている田園地帯を進むと、多田川のたもとに、ひっそりとしたたたずまいの酒蔵が見えてきます、そこが新潟の越乃寒梅、埼玉の寒梅と並んで、日本の三寒梅と称される寒梅酒造です。
生産量が380石の小さな蔵ですが、小回りの良さを活かした斬新な酒造りには定評があり、常に新しい酒造りに挑戦している酒蔵です。


寒梅酒造の沿革

大正5年、岩崎酒造の名で創業されました。その当時、地域一帯15町歩以上を有する地主で、小作人から地代の代わりに集めた産穀米を使って酒造りを始めたのが事業の始まりでした。
清酒「誉の高川」の銘柄で地元を中心に販売してましたが、昭和14年戦時下の中、米不足のため製造を中断しました。昭和32年、酒造りへの熱情から合名会社寒梅酒造の名で復活しました。生産量の中で純米酒が占める割合が50%と大変多く 吟醸を含めると全体の70%以上が本物志向の個性豊かな地酒で、純米酒以上全て冷蔵瓶貯蔵しています。そのため30坪の冷蔵設備とコンテナ2機の冷凍設備を有しています。
酒造りに欠かせない宮水の"宮"と、 厳しい寒さに耐え万花に魁けて花開き、人々の心を和ませ、純潔な雄姿を表す"寒梅"、その実が結ぶようにと、「宮寒梅」の銘に込めて命名しました。

 

これまで国税庁主催の全国清酒鑑評会では、金賞を4度受賞し、東北新酒鑑評会でも多く受賞しています。
高齢のため杜氏が引退されたため平成11年の仕込みから地元の蔵人4人と専務自ら酒造りに挑戦し
見事東北新酒鑑評会の吟醸の部で優等賞を受賞しました。

岩崎社長の酒造りの基本は米?!

岩崎社長2町3反の自作田を持つ強みを生かし、様々な酒造米を栽培している寒梅酒造では、現在の酒米のルーツと云われているジャポニカ種の三大品種・・・愛国、亀の尾、神力で仕込んだ酒造りに挑戦しています。
酒造りの基本は、米にあるとの信念で、米づくりから取り組んでいます。昭和53年から栽培を始めた「美山錦」は、寒さに強く大粒なのが特徴で、米の半分程度を削り取って醸す純米酒や吟醸酒には、欠かせない酒造米です。他に、ささにしきやひとめぼれ、まな娘、愛国なども栽培し、純米酒として製品化しています。亀の尾は、当地での栽培が難しいため、大潟村の鈴木秀則氏と契約した有機栽培米で仕込んでいます。神力も同じく当地での栽培が難しいため、熊本より取寄せています。「これからも、若い人をターゲットに、いろいろの米を使ってニーズの多様化にこたえていきたいと思ってます。」


岩崎 隆聡氏 
(社長と杜氏を兼任)

 学校卒業後、地元で営業など社会勉強後昭和59年家業の寒梅酒造へ入社。
農家の仕事をしながら営業や蔵人を経験し、昨春杜氏が引退したのを機会に、製造責任者として本格的に自社の酒づくりに取り組んでいます。「酒造りは小さい頃から現場で見よう見まねで体で覚えました。でも本当は何もわからないんです。4人の蔵人たちがそれぞれの役割の中で杜氏の技をマスターしたおかげなんです。酒造りはチームワークだと思っています、全員一丸となって力を出し合ってこそいい酒が出来ます。酒瓶に私を含め蔵人全員の名前を刻んでいるのがその証です。自分たちがうまいと思えばそれを信じればいいんです。しして自分で一から造った酒がうまいといわれた時の幸せは、なんとも言えないません。まだ内緒ですが今年も新たな取組をします。酒造りに遊び心を持ちながら生産者の顔が見えるような酒造りをしたい。」酒造りは毎年一年生ですと話す岩崎専務の目に少年のような輝きを見ました。

現在の生産量は380石、大吟醸、純米大吟醸、純米吟醸、純米酒、本醸造酒など特定名称酒が全体の9割を占め、わずか1割が近隣の方々にご愛飲されるている普通酒です。8月行われた古川地区初呑み切り巡回指導でも今年の酒は今までになく濃醇に仕上がっていい出来ですねと5人の先生方からお褒めの言葉を頂きました。

愛国

愛国は昭和初期作付けされた米のひとつで、現在はほとんど作付けされていません。茨城の育種改良普及研究所から、132粒の種籾を譲り受け、自作田で3年かけてタンク1本分の米に育て上げた幻の米です。愛国で作った一粒の煌めきは、やや辛口で酸味のあるフルーティーな味わいが特徴です。

亀の尾

昭和初、中期までは作付けされていましたが、収量と病害虫に弱いことから今ではほとんど作付けされません。亀の尾の米は、タンパク質含有量が少なくため、酒米として優れているため芯の強い酒で出来ます、年数がたってもへたらず搾った時とかわらない酒質が保たれるのが特徴です。

神力

明治初期兵庫県の農家が偶然発見した品種で、大粒で風雨によく耐えて倒れにくく籾の外皮が薄くて脱穀しやすく、しかも食糧難の時代に、他の品種より3割近くも多く収穫できたことから、神のご加護による賜り物として「神力」と命名。神力で出来た酒は、香りがありふくらみのある酒に仕上がります。

▲12月の初仕込み待つタンク →

▲仕込み蔵内部のタンク。


▲実りの秋の刈り取りを待つ独特の赤い稲穂の愛国米

▲2万本収容可能30坪瓶貯蔵用冷蔵庫。