阿部勘酒造店

阿部勘酒造

▲塩竃神社の真下にある阿部勘酒造です。

本マグロ水揚げ日本一を誇る漁港塩釜には、1200年以上の歴史を持つ奥州一の宮(一の宮というのは、その国の国司として赴任してきた人が真っ先に参拝する神社)塩竈神社があります。

塩竈神社は平安時代より塩土老翁神、海上安全、豊漁、安産の守護神として信仰され、江戸時代より伊達政宗の保護を受けさらに発展しました。

塩釜市中央部一森山の頂上に境内があり、塩竈港、日本三景松島湾千賀ノ浦を眼下に見下ろす立派な構えの社殿内の真下に、享保初年、伊達藩の命により塩竈神社の神酒御用酒屋として創業した阿部勘酒造があります。


阿部勘酒造の沿革

享保元年(1716年)創業。塩釜神社の神酒御用酒屋として、仙台藩伊達家より命ぜられて酒造りを始めました。阿部勘酒造のある塩釜は降性海岸地形であることから水害や高潮に何度となく見舞われ、昭和50年には火災にあい、貴重な資料や酒蔵の全てを焼失しました。そんな中、平成8年には道路拡張にともない蔵を建て直し、近代的な蔵に生まれ変わりました。

酒造りの方針は、あくまでも本物へのこだわりと品質第一をモットーに無理をしない酒造りをしています。阿部家の家紋と「酒は剣菱男山」(酒の代名詞)の歌にあやかって名づけた「於茂多加男山」と「四季の松島」「於茂多加」「阿部勘」「一宮」の5銘柄を販売しています。

これまで多くの鑑評会において数々の好成績をおさめております。
南部杜氏自醸清酒鑑評会では毎年のように優等賞を受賞しています。
国税庁主催の全国新酒鑑評会では昭和63年、平成3年、5年、7年、9年、11年、13年と連続金賞受賞。

阿部社長のいまどきの酒造りとは?!

阿部社長

現在、宮城酒造組合理事長の阿部社長は開口一番「いや、どうもお忙しい中をご苦労さんです。当社は全てオープンの蔵ですから取材は大歓迎!何でも尋ねてください。」と社長が愛嬌たっぷりに豪快に笑いました。

酒に対するこだわりについても単刀直入「おいしい酒を造ることです。小さい蔵のメリットを生かし無理をしないこと。量を売ることは求めません」とのお話でした。

「私は楽しむことをモットーとしております。人生を楽しむことはもちろん、お酒を楽しむこと、酒造りを楽しむこと、消費者の皆様に当社の酒を、かわらずご愛飲していただきたいとの願いで蔵人や社員と一緒になって開発しております。酒造りの工程の中で生まれるフレッシュでおいしい新しいタイプのお酒が提供できないか只今模索中です。」

「我が社は”高品質少量生産の吟醸酒づくり”、そして”高品質の酒を消費者の手に届く価格で”の大方針のもと、我が社の要伊藤杜氏が中心となって酒蔵を設計し数々の設備をしてまいりました。蔵の中は鉄釘を使わず全てステンレス製を使っております。一番コストがかかる人件費を抑えるため、そして大切な働き手の蔵人が深夜労働等の重労働から解放させるため最新の自動製麹機”杜氏さん”を他社に先駆けて導入しました。温度設定などコンピューターに熟知している伊藤杜氏ならではの力量で最高の状態で使いこなしています。そして酒のタイプに合わせて最適の酵母を培養する自家培養設備や最適な割水を作り出すピアウォター生成機など最先端の設備を備えております。」

我が社では、「米どころ宮城」の蔵として地元を大切にとの思いから宮城県酒造好適米「蔵の華」や、「ひとめぼれ」を中心に「まな娘」や「五百万石」、「亀の尾」(石巻産)など宮城県内で作付けしている米を使っていますが、一部「兵庫の山田錦」なども使っています。銘柄は「於茂多加男山」「四季の松島」「於茂多加」「阿部勘」「一宮」以上5銘柄です。「阿部勘」は県外向けの銘柄「於茂多加」は県内外向けの銘柄となっております。地元消費者を主に販売しているため塩釜圏内に7割、仙台や首都圏に3割を出荷しています。「特に我が社は特定名称酒の割合が98%と高く、なんと全製品の平均精米歩合は51%と高度精米の吟醸酒主体の蔵です。」現在、普通酒に依存している蔵が苦戦している中で、吟醸系が伸びている時代にマッチした阿部勘酒造は、今後の展開が楽しみな蔵です。

酒質の安定が大切と語る若き13代目社長は肩肘はらずに普段着で酒造りをしています。

活性炭濾過を減らしてそのままで出したいんです!

当蔵は、全商品の米の精白歩合が51%(全国平均は68%)いう高度精白米を使っており、加えて自家培養酵母を使って長期低温発酵し、酒の色は水のように透明で、芳醇な香りにの日本酒に仕上がります。出来上がった酒は全て低温倉庫で瓶貯蔵をするため、ほとんどの酒は炭濾過の必要はないのです。

小さい蔵だからこそ、みんなで知恵を出しあい、手間を惜しまず楽しく酒造りをしています。

「最新設備で自動化機械化された蔵」

地方の蔵からの研修生数人と蔵人5人体制で余裕の造りが出来るのは、クレーンやベルトコンベアが米を運ぶ重労働から蔵人を解放し、雑菌の侵入や温度管理など品質を保つのが困難で、従来一晩中寝ずの作業をしていた製麹作業がシステムコンピュータによる温度、湿度管理によって自動化されています。

より良い麹培養の為の数々の機具など、これらとの融合により、各工程は本来の手作りのノウハウにより完璧に管理されています。それは故伊藤杜氏のずば抜けた技術と感性がなせる世界であり、阿部勘酒造モデルとして新しい酒造りが、まさに時代にあった酒を生み出しています。


仕込みタンク

▲仕込みタンクは全部で18機。吟醸クラスのための密閉型(右の750k仕込み用)と吟醸以下の開放型。

仕込み自動製麹機「杜氏くん」

▲仕込み自動製麹機「杜氏くん」は杜氏や蔵人が一晩中寝ずに麹を育てる作業を完全に自動化。


コンピューター杜氏くんの麹室

▲コンピューター杜氏くんの麹室は壁は杉貼りで、米に麹菌をふりかけた後全自動で麹を育てます。

麹

▲育った麹をいったん乾燥させます。


ピアウォター生成機

▲最適な割水を作り出すピアウォター生成機。

酵母培養設備

▲酒のタイプに合わせて自社で酵母を培養する設備。


40坪大型冷蔵庫

▲全て瓶貯蔵している40坪大型冷蔵庫の内部。

蔵自慢のこしき

▲蔵自慢のこしきは酒米を最高の状態に仕上げます。